ビリーホリディ そして‥‥

 いま、ビリーホリディを聴きながら、これを書いています。
 そしてあの、 strange fruit (奇妙な果実)のところにくると、やっぱり身構えてしまうんです。

「奇妙な果実」はルイス・アレンという若い高校教師が、作詞・作曲した。ビリーは1939年にこの曲に出合い、自身のレパートリーに加えるようになったが、コロムビアレコードはこの曲の録音を拒否したため、小さな専門レーベルであるコモドアレコードで録音された。

Southern trees bear strange fruit
Blood on the leaves and blood at the root
Black bodies swinging in the southern breeze
Strange fruit hanging from the poplar trees

 アフリカ系アメリカ人に対する人種差別反対の、象徴的な歌としてあまりにも有名ですが、ビリーはこれをたんたんと、語るように歌います。身構えていたボクも、いつのまにか引き込まれています。

和田誠さんが描くビリー・ホリディ。
『ポートレイト・イン・ジャズ』から。

 ジャズはいいですね。 
 ジャズというのは、奇跡だとボクは思うんです。
 アメリカが産んだ。もっとも素晴らしいものではないでしょうか。
 19世紀末に、ルイジアナ州ニューオリンズで生まれたということですが、西アフリカの音楽にルーツを持ちながら、その後さまざまな音楽と融合しながら進化し分化していきます。
泥臭いのかと思いきや、極めて都会的でおしゃれなのもある。複雑なコード、高度な演奏技術、そして即興性。

ビリー・ホリディは、1959年7月17日に亡くなっているが、ジョン・コルトレーンもまた7月17日が命日だ。(1967年)
ボクの好きなジャズプレーヤー。

 学生時代のボクは、けっこうはまったんですよ、ジャズ喫茶に。
もうもうと向こうが見えないほどの煙草の煙の中で、何かを考えるようなふりをしながら、ジントニックなどを飲んでいましたっけ。
 河原町の荒神口にあった、ほれほれ、なんだったけな。それから学校の裏側の相国寺のちかくにあった、それそれ。えーと、いけね。ぜんぜん、名前を思い出せません。ま、いいか。
 そうそう、もう少し後になりますが、ケイコともよく行きましたよ。東山三条の「カルコ」、京阪三条のあたりの「蝶類図鑑」。久しく、京都にも行っていません。

『ポートレイト・イン・ジャズ』
和田誠 村上春樹 
平成16年新潮文庫
和田誠が、まずお気に入りのジャズプレーヤーの似顔絵を描き、それに村上春樹がエッセーをつけるというスタイルの、楽しい読み物。53人のジャズマンが登場。

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5件のコメント

    1. こっちのほうは、やっぱり思い出せませんね。
      もちろん侘助ではない。
      かなりわかりにくいところにあるんですよ。
      名前は単純な、短い名前だったような気がする。

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