Nostalgic summer 禁断の「青」と」「白」

 「いやあ~ 今年はほんまに暑いですなあ」と、毎年言っているような気もしますが、やっぱり今年は、誰が何んと言おうと暑いです。
で、それがいまさら、どうしたって?
 うーん、どうしたというほどのことではないんですけどね、思い出したんですよ。この暑さで。しかも、二つ。

 一つ目はね、ほれほれあの青いヤツ。ときどき名前を忘れちゃうんですけどね、あ、思い出した。クリームソーダ!
 子供の頃、ボクらはファミレスとかはなかったからね、たまに外食の機会といえばデパートの大食堂。そのショーケースにね、飾ってあるんですよ、あの青い神秘的な禁断の飲み物が。
 どういうわけかボクは、あれは頼んじゃいけないもの、と思っていました。飲みたいのに、頼んじゃいけない、禁断の飲み物。なぜでしょうね。あの青い透明なキラキラ光る液体の向こう側に、何か別の世界があるような。
 ストローでこの液体をスーと飲むと、向こうの世界からスーと吸い込まれて、もう二度と帰って来れなくなるような。そんな気がしていたのかもしれません。

 この間、OTOTO COFFEEさん(最近のお気に入り)に行って、クリームソーダを飲んできました。おいしかったけど、別に何も起こりませんでした。写真撮るのを忘れたので、イラスト描いてみます。けど、これはけっこう難しい。それらしく見えるかどうか。

 さてもう一つはなにかというと、て・ん・か・ふ・ん、です。ご存じでしょうか。漢字で書くと、天花粉。試みに辞書を引いてみましょう。牧村史陽の『大阪ことば辞典』。

テンカフ[天瓜粉](名)汗押さえ粉。いまはシッカロールといわねば通用せぬようになった。天瓜粉は黄烏瓜の根からとった澱粉であるが、シッカロールは亜鉛華に薬品香料を交えたもの。
  天瓜粉這ふ子せはしく打ちにけり きよ女

 この辞書は、昭和54年(1979年)に発刊ですから、もうその頃すでに天瓜粉は死語になりつつあったということでしょうか。
話は戻りますが、この暑さです。汗をかきます。腕の、ひじの、内側がチクチクとかゆいんです。それで、あっと思い出しました。テンカフンの白いパフパフ。お母ちゃんがパフパフはたいてくれた。お母さんでも、ママでもなく、お母ちゃ~んなんです。
 ああ、あの頃に戻りたい、なんて一瞬思ったかな? これも禁断の夢ですね。
 ノスタルジーと実用と、両方にせかされて、買いに行きました。天花粉を。
 そしたら、薬局のおばちゃん、すごくすまなそうに、こう言うんです。
 「すみません、今はねベビーパウダーといって、こういう形なんですよ。パフパフは空中に飛び散るので、吸い込むとカラダによくないので、今はないんですよ」
 そうなのか。新しいベビーパウダーは、ごく普通のプラスチックのボトル入り。イメージとは全然違うので少々迷いましたが、買って帰りました。

 パッパッと振りかけると、な、なんだ、こちらの方が飛び散るではないですか。使い方、けっこう難しい。
 それでも、左右の腕の汗かき部分に白い粉を振りかけて、ボンちゃんしごくご満悦。しばし、白い粉の悦楽‥‥おっと、これはやばい。つまり、天花粉の思い出にひたったことでした。

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