歌舞伎俳優の片岡秀太郎さんが、23日亡くなられました。(79歳)
ボクが秀太郎を意識し始めたのは、いつ頃だったか?
1999年(平成11年)に、ボクは松竹座で二代目鴈治郎17回忌追善公演を見ています。忠臣蔵九段目山科閑居の場で、秀太郎は由良助妻お石を演じました。鴈治郎演じる戸無瀬に一歩も引かず渡り合うお石は、まったく貫禄十分でした。
若いころの秀太郎は、繊細すぎ、陰気になりがち、などと言われたこともあったようですが、このころはもう一本芯がしっかりと入った役者さんでした。(などと、生意気なこと言ってごめんなさい)
姫、遊女、女房、奥方など、どんな役でもこの人が演じると舞台が締まり、安定するような気がします。
お父ちゃんの13代目仁左衛門さんとおなじく、「だんだん良くなる」型の人だっただけに、享年79歳はまだ惜しい。
それから、秀太郎さんは、いまテレビなどでひっぱりだこの片岡愛之助さんの養父でもあります。愛之助さんは、5歳のときに松竹芸能の子役オーディションを受けたのですが、その様子をみていた秀太郎さんが、愛之助9歳のときに歌舞伎界にスカウトしました。
そしてついに愛之助高校3年生のときに、秀太郎と養子縁組をすることになったのです。
歌舞伎界では、いわゆる「血筋」の人でないと、大きな役をもらうことはありません。愛之助今日の活躍は、秀太郎さんのスカウト、養子縁組の決断あったればこそ、というわけです。