こんどは身代わり まひろ忙しい

大河ドラマ・光る君へ  第四回「五節の舞」

『古事談』という書物があります。
これは、平安時代後期の貴族社会での逸話を拾い集めて記録したもの。

その中に、こんな一節があります。

  花山院ご即位の日、馬の内侍、褰帳の命婦となり進参のあひだ、
  天皇高御座の内に引き入れしめ給ひ、忽ち持って配偶しけりと云々

 かねてから女好きで知られる師貞が花山天皇として即位する式典の最中。美しい女官を高御座の中に引き入れて、事に及んだというのです。

 まあ、けったいなお人です。
 この他にも、即位式の時王冠が重いと言って脱ぎ捨てたとか、清涼殿の狭い坪庭で馬を乗り回したとか、いろいろな逸話があります。

 さて、花山天皇即位後しばらくして、五節の舞が行われます。五節の舞とは、収穫を祝う神事の後の宴で、未婚の姫四名が舞を披露するというもの。左大臣、源雅信にもその命がくだりました。

「たいへんなことになった。我が家からも、ひとり姫を差し出さねばならぬ」
雅信の娘は、あの倫子です。帝の前で舞い、気に入られれば‥‥

「わたくしは、いやでございます」と倫子。

 源雅信は、心優しいひとです。これが藤原兼家なら、
「チャンスではないか。お前が帝の眼にとまれば、この父にとっても好都合。逃げることは許さぬぞ」とか、いうことでしょう。

 相談の結果、代役が立てられることになりました。
 遠い親戚にあたる、藤原為時の娘──まひろです。

 まひろは、なぜかこの役目を喜んで引き受けます。そして、五節の舞の当日、舞いながらまひろが目にしたものは‥。
母を殺害した藤原道兼。そしてその隣に座っている、三郎の姿でした。

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